愛媛県の久万高原にある造林会社、松山で木工を中心に就労支援を行う事業所とともに、林福連携の取り組みとして玩具づくりに関わっています。就労支援事業所とは身心にハンディキャップをもつ人々を対象にした施設ですが、利用者の年齢や個性は幅広く、見慣れない私に無邪気な笑顔で話しかけてくれる年配者がいれば、緊張の眼差しを向けこわばる青年もいたりと様々です。思い思いに学習机に向かいながら木工に勤しむ彼らは、容姿は違えど、娘が通う保育園で接する幼い子どもたちのようでした。
 施設の利用者さんたちは、各々の適正に合った作業を日々行っています。中でも紙やすりを使って研磨の工程を担当する方たちの仕事ぶりは興味深く、木の部品を原型を留めないほど磨く方や、作業に集中するあまり机に穴が空くほどやすりをかける方もいるほどでした。そうした方たちの制作物は製造業者として不良品とみなされますが、他方で純粋な造形物として見てみれば、自然が生みだすかたちのように無作為の美に満ち、どこか神秘的で強く惹かれるものがあります。彼らの中には意思疎通を図ることが難しい方もいますが、もののかたちに宿る力は言語を超えて人の心を揺さぶることができるのだと、あらためて気付かされました。